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企業ロゴ・ブランドロゴの選考基準のポイント【第2回】

2020.05.27 水

企業ロゴ・ブランドロゴの選考基準のポイント【第2回】

こんにちは!引き続きコロナで大変な世の中。自分より世間の引きこもりに参っているタケっちです。

このコロナ騒動、社会も大きく変わろうとしています。ファックスどころかオフィスすら持たない“実体のあるペーパーカンパニー”が増えそうです。

一方、私自身も変化しました。私は自身の仕事柄、イスと一体化することに慣れっこです。今や運動不足もすっかり板につき、最早身体が鈍っている事すら忘れていました。しかし世間が引きこもる状況になると、なぜか自身も体が鈍るようになりました。

気持ち、気分からくるものだと思います。仕方がないので不要不急のお出かけ自粛の中、マスクをつけて長い散歩に出るようにもなりましたが、それでもスッキリしません。
そのためスクワット、柔軟、ストレッチを始め、そのうち卓球の素振りなんぞも始めました。

なんせ高校時代は卓球部だったもので。野球もやってましたが素振りは部屋の中ではできません。王さんはやってましたけど…。おかげで脚の筋肉が戻り始め、脂肪が消え始め、姿勢や動き方も十数年前に戻り始めている気がします。

これまで社会が活発に動いているからこそ、安心してイスと一体化できていたことに気づきました。気持ち、気分を左右する雰囲気ってのは大事です。

 

コーポレートアイデンティティを体現した企業ロゴ。提案されたデザイン案から最善の案を選出するポイント

ところで前回から企業ロゴ・ブランドロゴの選考基準と題し、企業ロゴを選ぶポイントをテーマに取り上げています。

前回は1から3まで、独自性と永続性、汎用性・展開性の3項目について触れました。今回はその続きの2回目。全3回で取り上げようと思います。

今回、まずは「比較的、経営トップ・オーナー視点からの基準」の4つ目、メジャー感から始めます。

コーポレートアイデンティティを体現した企業ロゴ。提案されたデザイン案から最善の案を選出するポイント

 

比較的、経営トップ・オーナー視点からの基準。

4:メジャー感

経営層や従業員において重要なスケール感、一流の印象

特に企業ロゴにおいて組織のスケール感や一流感があるかという感覚的な項目です。そのため個人差が大きく、事業ブランドや商品・サービスブランドには特に必須ではありません。一方、企業ロゴについては重要だと思います。

デザインする側も多くは無意識的に気を配っていると思います。
メジャー感はスケールが大きく広範なコンセプトを表現するため多くは抽象的になります。

企業のルーツを表現する以外では、具体性や趣味性の高さはあまり求めません。企業活動を特定の事業に絞り込むことはできない等の理由からです。

過去、常にシェアの上位に位置している中小企業から相談がありました。
聞くと競合会社が全て著名なナショナル企業のグループメンバー会社だったのです。

彼らの名刺には著名な企業ロゴがエンドーサーとして表示されています。よくあるケースかもしれません。

そのため「クライアントに名刺を出す時、気後れしちゃうんだよね~」という本音が従業員の皆さんから上がってきていました。当方としても“燃える”ケースです。

当方からは根本的な解決を図るCI計画を勧め実施に至りました。従業員の皆さんが誇りを持って名刺を出せるのが最大の目標。このようなケースでは趣味性の高い雰囲気はマイナスになります。

 

比較的、経営トップ・オーナー視点からの基準。

 

一方消費者においては、実はさほど重要でもありません。

特に事業ブランドや商品・サービスブランドでは特定のターゲットに向け、雰囲気や趣味性を際立たせて表現することは一般的です。

また消費者が初めて見るような独自性の高いロゴはマイナー感をしばらく伴います。

顧客が既に知っているパターンに当てはまらず既視感がないからです。
それは数度ロゴに触れながら、その企業やブランドに関する知識が蓄積されるにしたがい、親しみと規模感が醸成されていきます。

消費者においてさほど重要ではないという理由です。
そもそも具体的で趣味性の高い雰囲気を表現したロゴはスケール感を伴いません。

評価は例えば1週間ほど壁に貼り、眺めてみるなどして判断します。

見極めができる方には細かい形の粗が見えてくるでしょうが、ここではメジャー感の印象確認までに留めます。

そして最も確かなのは、そのロゴをじっくり見続けた担当デザイナーやデザインディレクターの意見だと思います。

 

各ステークホルダー、顧客視点からの基準

さて、ここまでは「比較的、経営トップ・オーナー視点からの基準」について取り上げました。以上4項目です。

次は「各ステークホルダー、顧客視点からの基準」。従業員の皆様、顧客や消費者、株主様などの視点から語りたいと思います。全部で5項目です。
前回の記事の通り、経営トップと顧客、また経営層と従業員とではロゴの評価ポイントが異なるという事を念頭に置いてください。

 

5:事業適合性

事業イメージに合致し、大まかな事業を想像できる

人々は日々何かしらのロゴを目にしています。非常に多くのブランドロゴを見てきており、そのイメージの蓄積は各業種毎にパターンを作り出しています。いわゆる既成概念です。私などは既成概念を覆したいという考えに駆られ、無駄を承知でチャレンジもします。

顧客において事業イメージにロゴの印象が違和感なく合致するかどうかは重要です。または浸透するにしたがい、いずれ事業カテゴリーイメージと結びつくかどうか。

食品や飲料の商品ブランドでは特に顕著だと思いますが、例えば食品に工業製品のイメージが結びつくのはけっこう厳しいと思います。食べたくありません。消費者は無意識的に買いにくいと思います。

 

 

事業イメージに合致し、大まかな事業を想像できる

 

 

以前、食肉牛の業者様から相談があったのですが、商品ブランドとしてのロゴは牧場イメージでした。

牛乳やアイスクリームではなく本来は焼肉やステーキです。消費者はなにか違和感を持つはずです。

一方、畜産会社としての企業ロゴはシンプルでカッコいいのですが、金属製品を製造するような工業イメージでした。食べられません。デザイナーとして既成概念を覆すべく何かやりたかったのかもしれないと思いましたが、やっぱりちょっと難しいかな…?という感想を持ちました。

消費者に受け入れられず将来的にも浸透しないだろうと想定されるデザインは避けなければなりません。

デザイン制作側としては無難でないデザインにもチャレンジすべきですが、消費者から受け入れられるかどうか、最初はそうでなくとも将来的に浸透すると考えられるか、調査するなど慎重になるのは重々理解できます。

 

8新規性

新鮮さ、流行・時流における先端感

記事内容の都合上、8:新規性と9:審美性を先に取り上げたいと思います。

ロゴにも流行り廃れがあります。流行に対する感性や、デザインの新鮮感は前述のメジャー感と同様、個人差が大きいものです。

消費者にはわかりやすい“華”であり、デザイナー自身のタレント性も問われます。

タレント的に成功したデザイナーが手掛けると、消費者はロゴデザインを好意的に受け入れます。

それもマーケティングの一環です。この辺はデザイン料に大きく反映されやすく、デザイナーの野心を駆り立てる部分でもあります。

その時流や先端性を捉えることは大切です。しかしながらその新鮮さが持続する期間は限定的でもあります。

その辺、企業ロゴは中長期に渡り使いますので、流行・新鮮さが持続する期間をはるかに超えることになります。

そのため流行や新鮮さ、登場時のインパクト等は戦略的な事と考えた方が良いと思っています。

新鮮さで多数の興味を引き、その新規性が薄れた後は次の「審美性」に引き継ぐことになります。

 

 

新鮮さ、流行・時流における先端感

 

 

無数にあるロゴですが、もうとっくに出尽くした感があります。私は20年前頃には「出尽くしちゃったなぁ…」と感じていました。
また前述のように多くは顧客の中で既成概念化されパターンが出来上がっています。

そのため“新鮮さ”とは、個々人の記憶・体験と照らし合わせた相対的なものと考えており、これまで見たこともない絶対的なオリジナルというものではないと思っています。

ところで、企業ロゴはその企業の財産です。一過性のものではないので、新鮮さがなくなったからとすぐに変更すべきかと言うとそうではありません。

造形美術として審美性に優れたロゴなら本当にリニューアルすべきかどうか、リニューアルするなら変える範囲を含め、慎重に検討してほしいと思います。

著名な大企業でももったいないなぁ…と思うケースもありました。個人的には気をつけてほしいと思うところです。

 

9:審美性

普遍的な美しさ、造形品質の高さ、造形美術としての完成度

審美性は私が個人的に“造形品質”と言っている部分です。デザイン提案の段階ではまだ未完成の状態です。

提案段階で正確に判断できるのは、100%の仕上がりを想定できる担当デザイナーやデザインディレクターでしょう。

企業ロゴのデザイン提案では何段階かに分け、デザイン案を絞り込んでいきます。50案から10案へ、商標調査を経て3案に絞り、最終選考…といった具合に。
絞り込まれていく度、デザイン案はバージョンアップがなされます。最終案に向かい段々と精緻化されていき、商標調査にかける段階では最終形を想定できることも多いと思います。

デザイン案が決まったら、その決定案の精緻化作業を行い、世に出してもいいというところまで完成度を高め最終化します。

普遍的な美しさ、造形品質の高さ、造形美術としての完成度

 

 

企業ロゴは中長期に渡り多くの人々の目に触れ、社会に浸透されていきます。

多くのアイテムにシグネチュア(署名)として表示され、保証を付与します。多くのアイテムに表示され長期使用に耐えるよう造形の完成度を上げることが大切です。それにより社会に浸透し、多くの人々に馴染みます。

しっかり作りこんで造形品質を上げ切ることにより、いずれ新鮮味が薄れても愛されるロゴになります。

この完成度を上げる作業では、シンプルな図形ほど隅々まで厳密に見ていく必要があります。

複雑な形よりも非常に繊細です。経験の長いデザイナーほど課題に気づき、また企業ロゴを創る重責も理解しています。そのため時間や労力がかかることを厭いません。
シンプルなロゴは高度だとも言われる理由です。

 

次回、第3回目は認識性と記憶されるロゴについて。

以上、企業ロゴの選考基準について 第2回目でした。次回も引き続き第3回目になります。このお題目、もう一話お付き合いください。

今や一日でもスクワットを休むと脚の筋肉から鍛えるよう要求されるようになりました。また温泉卓球ではないマジなピンポンは本当にハードなのですが、素振りですら気合い入れてやると相当キツイです。

もしZoomでエア卓球をやりたいという方は、ぜひお気軽にご連絡を。ついでにエア卓球でYouTuberデビューしましょうか。

 

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  • この記事を書いた人

イチロー

これまで広く業界を問わずCIとブランディングにおけるデザイン、またアイデンティティの創造・立案支援、クリエイティブ・デザインに関する講義等に従事してまいりました。 その間、私たちの社会環境や価値観はどんどん変貌し、今後もDX推進やVRなど新たなコミュニケーション手段により、戦略をはじめデザインする媒体も感性面も変わり続けます。その絶え間ない変遷の中、人の心にある普遍的価値にしっかり立脚し、目前に広がる社会の新たな展開と可能性を見据え、共助共栄の下、日々の業務に携わっていきたいと思います。

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